個人の住宅としては私は最高峰だと思っています。フランク・ロイド・ライト作カウフマン邸 (通称:落水荘) です。

ライトにとっても分水嶺となった作品では無いでしょうか。事実それまでのプレーリーハウスから、これ以降はユーソニアン住宅へと変わって行きます。

まるで家が自然の一部であるかのような佇まい。周りの木々や岩、水の流れすらこの建造物と有機的に結合している錯覚を覚えます。

特徴的な片持ち梁(カンチレバー)が、トラディショナルなテクスチャーにうまく未来的な「洗練」を付加していますね。

この張り出したカンチレバー、かなりの重量の為やはり年々下がってきます。その為、補強工事が過去に行われています。

 

このリビングが私の理想です。この部屋の開放感が何からもたらされているか分かるでしょうか?

実は壁が見えないのです。腰高に造り付けられたベンチ。そこから天井まである窓。コーナーに石を使った意匠性の高い柱。

床は石で、元々そこにあった巨岩が飛び出している箇所もあります。まさに自然の中にテーブルとベンチがある様なイメージのリビングです。

これを実現し更に水平方向への拡がりを強調する為、ライトはこの部屋の天井を2200mmに下げています。

彼は常に住人の目線でどう見えるかを意識した設計をしているのです。

その証拠にベッドルームには白い壁と木の壁が有り、包まれた安心感を与えています。「必要な物」を「必要な場所」に「必要なだけ」、そんな思いが見て取れます。

リビングの隣は階段となっており、下を流れる川岸にアクセスできます。音や温度、匂いまで、つまり全身で自然を感じるのです。

手前には空気の吸排用スリットが見えていますね。パッシヴソーラーにいち早く取り組んだライトらしさを感じる部分でもあります。

「自然素材」「自然エネルギー」「快適性」「安全性」そういった要素を高次元で具現化した稀代の建築家と言えるでしょう。

内部構造について非常に分かり易い3Dモデリングビデオがあったので御覧ください。

落水荘はペンシルバニア州の山中に在り、ビジターセンターから砂利の山道を400m程歩く必要が有ります。

建物内は家具類に座る事は禁止されており、常に立っておく必要があります。またトイレも使用不可ですのでビジターセンターで済ませておきましょう。

車椅子での見学はかなり厳しいと言わざるを得ません。というのも先程の「400mの砂利道」に加え「70cm幅の入口」「建物内に計100段程の階段」があるからです。つまり建物内に入れても観る事ができるのは1Fのみとなります。勿論メインとなる1Fだけでも十二分に観る価値はあります。

公式サイトはこちら

公式サイトより見学ツアーの予約ができます。

 

どうやって行こう?

まずはアメリカ本土に飛び、乗り継ぎでピッツバーグを目指すのが正攻法です。

ピッツバーグからレンタカーで1時間半程度。基本的に車でしか行けません。ニューヨークから車だと600kmあるのでキツイですよね。

日本からだと西海岸のLA、サンフランシスコかシカゴに飛んでピッツバーグが一番早いのかな。

ナビ用住所は 1478 Mill Run Rd, Mill Run, PA 15464 (ビジターセンター)

言葉では伝わり難いですが、ピッツバーグからはこんな感じです。

 

  • MonroevilleでParkway East(I-376)からI-76(Pennsylvania Turnpike)に進みます。
  • 東に進んで出口91(Donegal)まで進んでください。
  • Route 31東へ左折してください。
  • 2マイル(3.2km)進み、Route 381南へ右折してください。
  • ルート381を南に進んで約17マイル(27km)Fallingwaterまで進んでください。
  • 右手に「FALLING WATER」と書かれた石碑が見えたら右折でビジターセンターへ行けます。

折角時間を掛けて行くわけですから、周辺のライト建築も観て、ライト建築に宿泊というのも良いのではないでしょうか?

ケンタックノブ

ライト建築に泊まる

「DUNCAN HOUSE」が落水荘から近い宿泊施設となります。

 

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