契約までの流れ
良い家を建てる上で、最も重要なのが施工会社選びかもしれません。だからじっくりしっかりと選んでください。
「家を建てる」と言うのは引き渡しまでではなく、その後10年20年とアフターメンテナンスまで含めて考える必要があります。
価格だけで選ぶとイニシャルコストは抑えられますが、快適性や自由度・ランニングコスト等の面で損をしてしまう可能性が高くなるのです。
施工会社探し
まずは雑誌を見るのをオススメします。
実際に注文住宅を建てた実例集が参考になります。例えば「suumo注文住宅」の様な地域別・施工会社別の実例集は良いと思います。他にも各地域ごとで地元の出版社が出している住宅情報誌などは、施工会社の特徴やイメージを知るのに良いです。
その上で実際に住宅展示場や見学会・オープンハウスなどを覗いてみましょう。見学会やオープンハウスの方が、より深く見聞きする事ができ実像に近い印象を得られると思います。もし気になった施工会社があれば、そこが2〜3年前に建てた家を紹介して貰い、その家の方に話を聞くのが一番理想的です。引き渡し後の状況もわかりますしね。我が家もお見せした事がありますが、おそらく嫌な顔をされる方は少ないかと思います。
そういった作業を繰り返す内に、2〜3社に絞り込む事はできるはずです。その絞り込んだ各社に、同じ希望・同じ条件を提示してプランを出して貰い決断の時です。
私達の場合は3社にプランを出して貰いましたが、出されたプランを並べると迷いは一瞬で吹き飛びました。こちらの希望や説明のウワベをなぞるだけのプランではなく、その裏の意図を汲んで更に良い提案をしてくれた1社があったからです。
また設計士の方と何らかの共通項があると言うのも意外と大切だと思います。「歳が近い」とか「嗜好が似ている」とか「価値観が近い」とか、何かお互いに共感できる部分があるとその後のプランを詰める作業が順調に進み易いです。※プランと見積もりを出して貰うのに仮契約が必要な場合があります。その場合手付けで10万円程度必要になることも。ただし本契約に至らなければ通常は返還されるケースが多いです。
無料の一括見積もりで絞り込む事もできます
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施工会社を決めたら
良いプランを出してくれた施工会社と契約する事にしたら、まずはそのプランをより磨く必要があります。なぜならこの時点でのプラン及び見積もりは、標準的な仕様がベースになっているからです。
仕様や間取りに手を加えつつ予算に収まる様に打ち合わせを重ねます。納得のいく間取り図・設計図・仕様書と見積もりになった時点で、工事請負契約書にサインする流れとなります。※打ち合わせの際は毎回「打ち合わせ記録」を取りましょう。口頭だけでは後々トラブルの元となります。
契約時の注意点
- 会社によっては決算の関係や営業マンのノルマの関係で契約を急かされるケースもある様ですが、大きな買い物ですから相手のペースで話を進めない様に気をつけましょう。
- 瑕疵担保保証の確認。これは施工会社側の落ち度で、建てた家に何らかの不備・不具合が発生した際に賠償請求する為のものです。買い手保護の制度です。契約書の記載を必ず確認しましょう。
- 違約金の確認。これは逆に買い手側が契約違反をした場合、売り手側を守る為のものです。どういった行為が違約金の対象か確認しましょう。
- 引き渡し時期の確認。これは登記や住宅ローンの実行時期と関係します。つまり施主と施工会社以外の、金融機関や司法書士などにも影響が及びます。引渡し時期には残金の支払いや火災保険料の支払い、登記費用の支払い等雑多な作業が多いので、1日2日仕事を休む必要も出てくるかと思います。
- 支払い時期と割合の確認。通常支払いは3回に分けて行います。着手30%、中間30%、残金40%等どのタイミングで幾ら用意しなければいけないか、口頭の説明だけではなく書面でしっかりと再確認しましょう。
- ローン特約の確認。工事請負契約を交わしてもまだローンの本審査はこれからです。そこでローンが組めなかった場合、契約自体を白紙に戻すという特約です。これが無いとローンは組めなかったが、家の購入義務は発生するという事態が起こる事も!
- ちょっとした変更点や追加事項も、絶対に口頭だけではなく書面にして貰いましょう。
契約時必要な物
- 印紙代10000円(※本来は20000円ですが、現在は軽減措置の為)※もちろん超高額な家だと印紙代は跳ね上がりますが、一般的な家だとほとんどの建物は1000万円超5000万円以下ですよね・・・。
- 印鑑(実印でも認印でも可と言われていますが、実印が無難と思います。)
- 契約書類は施工会社側で用意するので必要な物はこの位です。ただしこのタイミングで1回目の支払いをする場合は用意しましょう。
- 会社によっては建築確認申請の費用を、ここで徴収する所もあるようです。金額はそれぞれで違うので施工業者に要確認です。
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契約後の施主のスケジュール
着工から完成まで
契約が済むといよいよ着工です。まずは施主の仕事としては地鎮祭があります。工事の無事を祈る祭事ですが、職人さんはゲンを担ぐ方も多いのでやった方が良いでしょう。用意する物は
- 米1合
- 酒1升(酒屋で地鎮祭用に蝶結びの祝い熨斗を付けて貰う)※普通熨斗には「奉献」と「施主名」を書きます。
- 海・山・野の幸(例:尾頭付きの鯛+昆布+果物+野菜など)
- 塩1合
- 水1合
- 玉串料(蝶結び赤白熨斗袋に「御初穂料」「施主名」を書き2〜3万円程度入れる)
- 榊(さかき)5本位※常緑樹の枝で花屋で購入できます。
- 紙コップ(参加者全員分+α程度)
- 半紙20枚程度
- 御車代(神主さんへ5000円程度)
- 祭壇準備費用(施工会社から別途請求があれば)※相場は2〜3万程度
- 1000円前後の手土産10個程度(※近所へ挨拶回りする場合)
一般的にはこの位ですが、地域や神主さんによって差があるので施工会社と事前打ち合わせが必要です。施工会社側で全て用意してくれて「当日は手ぶらで玉串料だけお願いします。」というケースも多々あります。
当日の服装は理想はスーツですが、落ち着いた平服で構いません。普通地鎮祭の後に御近所への挨拶周りをする事が多いので、派手な服装やカジュアルすぎる服装は控えた方が良いでしょう。あとこれは渡すも渡さないも自由ですが、棟梁や大工さんへの心付けです。もし渡そうと思っているのであればこのタイミングで渡しておくといいと思います。工事の後より前の方がお互い気持ちが良いのでは無いでしょうか。
地鎮祭が終わるといよいよ着工です。基礎ができる間はなかなかに待ち遠しいです。しかし大事な行程なのでゆっくりと見守りましょう。基礎ができると施主の次の仕事は棟上です。今は棟上げ式をしない人の方が多いですが、それでも現場の大工さん達に昼食を振る舞う位はしたいものです。昼食を共にする事で、自分の家への思いを伝える良い機会にもなります。
ここから先は最終的な細かい仕様・位置決め等を進めつつ現場のチェックをします。時間を作ってこまめに現場を見ておく事は意外と大切です。担当者や設計士の方と幾ら密に打ち合わせをしても、実際に作業をされるのは現場の大工さん達です。伝え忘れや、微妙なニュアンスが伝わっていないケースもあり得ます。ですからまずは新たな上書き図面を貰う度に、きちんと内容に間違いが無いか確認をしましょう。
現場に足を運ぶ際には、必ず最新の図面と照らし会わせてください。「壁の塗り方がイメージと違う」とか「コンセントは横向きが良かった」とか現場でなければ気付かない事は多いです。気付けばすぐに修正を依頼できますが、引き渡されて気付いたでは施主・施工会社のみならず家にもダメージがあると思います。やはり家を建てる上で主導権は施主にあるわけですから、それに伴う責任もあるのではないでしょうか。
決定事項が実際に形になる流れは [施主→担当者→設計→現場監督→現場]と大雑把に言えばこんな感じです。この過程で施主の意向やイメージが100%現場まで伝わっているか確認する方法は、やはり実際に施主が現場に足を運び定期的にチェックするしかないのではないでしょうか。第3者機関に監督業務を依頼する方法もありますが、これは図面通りに施工がされているかを確認するに過ぎません。施主の頭の中のビジョン(イメージや感覚的な部分)は本人の眼でしか確認のしようが無いのです。つまり実際の流れは[施主→担当者→設計→現場監督→現場→施主チェック]というのが良い家を建てる上では不可欠なのでは無いかと思います。と少し厳しい事を書きましたが、この現場を見に行くという行為は本当に楽しいです。家を建てる醍醐味の一つだと言っても良いでしょう。自分の頭の中にあった物が実際に形になる過程を見るわけですから。
引渡し
無事完成したらいよいよ引渡しです。とても長かった様な、あっと言う間だった様な感じだと思います。
引渡しが終わると「現状で問題ないです」と施主が納得した事になります。ですからその前に、家の中も外も確認作業を怠らない様に気を付けましょう。嬉しくてつい確認が疎かになりがちです。当日気をつける事をいくつか・・・
- 引渡しの書類に不備は無いか、よく確認して印鑑を押しましょう。
- アフターメンテナンスや保証期間を口頭及び書面で確認しましょう。
- 図面と違う点、自分の指示と違う点は無いかしっかり確認しましょう。
- 設備類の取扱説明書や保証書はちゃんと揃っていますか?
- 鍵は複数揃っていますか?
- 建築確認の副本や完了検査済証を施工会社から貰いましたか?
特に重要と思われるのはこんな所でしょうか。では実際に建物の確認はどんな所に気を付ければ良いのでしょう。
- 図面通りになっているか。
- ドアや窓は開閉や施錠をしてみて動作に問題が無いか。
- 設備機器類は説明を受けながら、その場で試運転をしておいた方が賢明です。
- 傷や汚れは無いか。
- 棚や引き出しの中、家の周りにゴミなどが残っていないか。
- 棚や手摺、スイッチ類等、高さや位置が重要な物は正しい位置に設置されているか。
- 水廻りは実際に水を流して排水状況やコーキングの具合も確認。水漏れは大変です。
- ブレーカーや通信回線のターミナルがどこにあるか。
- 建物の不備は隅に出易いので、床・壁・天井の隅は特に注意を。
- 外周りは雨樋やアンテナ、外壁のクラックなどは注意深く確認しましょう。
挙げればキリがありませんが、上記の様な点は特に気を付ける箇所です。
全ての確認が済み、書類や備品も全てOKとなれば押印して引き渡し完了です。おめでとうございます!
点検・アフターメンテナンス
実際に住んでみて気付く不備・不具合という物も勿論あります。
その為に、引渡し後3ヶ月、1年、2年など施工会社から点検に来られるかと思います。ですから気になる点があればメモに書き溜めておいて、点検の際に相談するのが良いでしょう。勿論、水漏れや故障など緊急の場合は、出来る限り早急に施工会社へ連絡を。
保証期間内の修繕には、施主側の過失が無い限り通常費用は発生しません。ですから不備不具合や説明と違う部分が有れば、キチンとその旨を伝えましょう。施工会社とは家を建てた後、20年30年と付き合いが続きます。ですから良好な関係を構築する上でも、不備不具合など問題は出来るだけ早く解決して下さい。