[コラム]家を建てよう・・・

 あなたがこのサイトを訪れたという事は、「家を建てたいなぁ」という漠然とした憧れから、現実に一歩踏み出そうとしているという事ですね。

多くの人が人生の中で1度しか経験しないであろう「家を建てる」という事。わからない事だらけなのは当然です。「何からやればいいの?」「資金はどうするの?」「建設会社はどうやって選べばいいの?」次から次に?が出て来ると思います。私達夫婦もそうでした。そんな色んな?を一つ一つクリアにしていって、幸運な事に今は本当に自分達の「理想の家」と呼べる我が家に住んでいます。「家を建てる」のは大きな大きな買物です。勿論、「返品」なんてできません。だからこそ10年後、20年後、50年後でも愛せる様な「住処」を建ててください。このサイトがその一助になれば幸いです。さぁ、ではまずは家を建てるまでの大まかな流れからご紹介しましょう。

1.予算

 自分がいくらのローンを組めるのかなんてピンと来ませんよね。

 一般に無理のない住宅ローンを組む際、年収の5倍とか毎年の返済額を年収の25%以下に抑えると良いとか言われます。つまり年収400万円なら借入額は5倍の2000万円で、毎年の返済額が400万円×0.25=100万円を超えない様な年数でローンを組むのが理想という事です。それに用意できる頭金を加えた金額が予算になります。

 当然ですが頭金は多ければ多い程、返済総額を大きく減らせるので大切です。土地探しなど1年2年と掛かる事もあるので、その期間も利用して貯金しましょう。

 その他に返済方法でもし元金均等返済を選べるのであれば、その方が返済総額を抑えられます。通常の元利均等返済は毎月の返済額が一定なのでわかりやすいですが、金利分を優先的に返済していく事になるのでなかなか元金が減りません。対応してくれる銀行は少ない様ですが、相談する価値はあると思います。

 まぁ、銀行に出向くのは建築会社のプランや見積もりを手に入れてからなので、この段階では自分の年収ならこの位はローンを組めるかなというのを漠然と掴んでおけばOKです。

2.理想

 ある程度ざっくり予算がイメージできたら、家族で夢を出し合います。「海の見える家」「暖炉が欲しい」「断熱は大事」「室内犬が飼える家」「広いウッドデッキ」「芝生の庭」・・・はっきりいってキリが無いです(笑)。

 ここで大切なのは予算を気にしない事。何故なら必ず予算はオーバーするものだからです。後々無駄をそぎおとす作業が発生するので、そこで本当に必要なものの優先順位が見えてきます。

 そしてもう一つは、相手の意見を否定しない事です。否定合戦になると、楽しいはずの家創りも台無しに・・・。そしてポイントですが、話す際には雑誌やネットで自分好みの家や部屋の画像を集めて見せ合う事が大切です。言葉よりも目で見た方が数倍正確に相手に伝わります。(※因みにこの時点で集めた画像をプリントアウトしてファイルを作っておくと、実際の施工会社との打ち合わせの際に希望を伝えるツールとして使えます。)

3.土地

 家族の希望を良く捏ねて、形を整えてください。もし土地や建物に対する希望が漠然とした状況であるなら、施工会社探しを先にして土地探しも協力して貰いながら設計を同時進行というのがベターかと思います。

もしここで「海が見える」とか「大きな公園のそば」とか「見晴らしの良い高台」とか限定的な希望があれば自分達でじっくり土地を探しましょう。私達の場合は「郊外の自然に囲まれた眺望の良い土地。そして市街地の職場まで車で30分〜40分程度。」というのが希望でした。

 ネットや雑誌で土地情報を隈なく見て、気になれば休日に観に行くという日々が結局2年続きました。おかげで相場勘がつきましたし、条件にピッタリのとても良い物件に巡り会えました。

 本当に土地との出会いは縁なので、時間を掛ける事を厭わない様にしてください。実際、条件はクリアしていても現地に立ってみると「何となく圧迫感がある」とか「ときめかない」とか感覚的な相性って有ります。条件だけに頼らず、自分の感覚にも耳を傾けましょう。

 それと注意点ですが、土地代には消費税は掛かりませんが、意外とその他費用が掛かります。分譲地などは地盤改良やインフラ整備などされた土地も有りますが、不動産屋を介して個人から購入する際には土地代以外の費用も確認してください。例えばのり面(※周辺土地や道路との高低差に依る斜面)のブロック補強などは数十万円〜数百万円の費用が発生するケースも有ります。

4.業者選び

 施工会社探しはまずはモデルハウス巡りです。この時に気を付ける事は、「モデルハウスは一般的な家よりも坪単価が高いハイグレード仕様」と理解しておく事です。ですからパッと見の雰囲気に気持ちが引っ張られてしまわない様に注意してください。

 それよりも施工の丁寧さや間取り等設計の緻密さ、デザインや素材の選び方等に目を向ける方が重要だと思います。家作りは技術的な信頼度が大切です。そして同じ位大切なのが担当者です。質問に的確に答えられるかとか、丁寧な対応かという様な事等は、その会社の思想や教育の影響を受ける部分だと思います。

 家は建てたら終わりではなく、その後何十年もその会社と付き合っていくのです。そういう意味では、個人的には大手ハウスメーカーよりも地場で永く営業されている工務店などの方が良いのではないかと思っています。

 数年毎に担当者が転勤の為に替わったりアフターメンテの施工は下請けの地元工務店に丸投げなんていうよりは、施工からアフターメンテまで請け負ってくれる所の方が信用できるのではないでしょうか?

 勿論、大手ハウスメーカーの方が潰れにくいだろうとか、何となく信用できそうとか、もしも感じるのであれば自身の安心感を優先すべきです。(※補足ですがモデルハウス巡りの際は建設会社を選ぶだけではなく、それぞれの家で気に入った部分(例えば「この無垢床」とか「この柄の壁紙」とか)の写真を撮り溜めておくと後々、仕様を決める際のヒントになります。

 ある程度モデルハウスを見て回った頃には、気に入った会社が数社出てくるかと思います。そしたら自分達の希望を伝えて各社からプランを出して貰います。この際、設計契約を結んだり、設計料が発生する場合も有ります。しかし1社に決めて最終的な工事契約を結ばない限りその1社以外の設計料は返還されるケースが多い様です。この辺りは各社毎で細かい対応は違うはずなので、プランを依頼する際に要確認です。ここで出てきた設計+見積もりを比較する事で絞り込みはスムーズに進むかと思います。

5.ローン

 プランと概算見積もりが手に入ったらいよいよローンの仮申請です。自前のお金でポーンと出せると良いのですが、普通はローンを利用しますよね。

 まずは通常の住宅ローンかフラット35にするか。審査が通り易いのはフラット35と言われています。全期間固定金利なので返済計画にブレが出ない事や、団信(※団体信用生命保険:ローンの契約者が返済期間中に死亡した場合に残額が保険で支払われるもの)が任意なので健康状態に問題があっても大丈夫です。他にも保証人や保証料が不要だったり、繰上げ返済手数料が不要だったりメリットは多いと思います。ただ現在(2016年冬)の様な低金利の時代は長期固定金利だと相対的に金利が高くなってしまう為、オススメとは言えないかなと感じます。

 ちなみにフラット35も、扱う金融機関毎で金利が大きく違うので良く比較して仮申請をしましょう。ここ数年を見ていると楽天銀行や住信SBIネット銀行が有利な状況の様です。

 では通常の住宅ローンはどうでしょう。まずは固定金利か変動金利かという選択です。現在であれば変動金利を選んで、後々金利の上昇を見ながら借り換えを選択するのが金利を抑える最善策なのかなと思います。銀行毎の金利比較はネットに情報が溢れているのですぐに確認できます。

 ただし金利だけでなくその他の条件もしっかり確認が必要です。金利は低いが繰上げ返済手数料が高いとか、癌になるとローン残額の50%が支払われるオプションが付いてるとか、ATM手数料の優遇や提携店での割引など多岐に渡る比較が必要です。どの金融機関もあの手この手で顧客の取り込みに躍起なのです。ですから自分のライフスタイルに照らし合わせる事が大切だと思います。

 例えばいつもイオンで買い物をする人は、イオン銀行で住宅ローンを組めば買い物の際に5%の割引があったり、住信や新生銀行の様にマイルをくれたり、自分銀行の様にauの特典が付く物もあったりします。また自分の給与口座がある銀行などは上得意客向けの優遇金利を用意していたりします。こちらから優遇金利の話を持ち掛けると、詳しく説明してくれ適用してくれる事が多い様です。

 つまり表面的な金利だけでは見えない部分が多く、一人一人のライフスタイルや条件によって得られるメリットが違うのです。そこを踏まえて金融機関選びをしてください。仮申請では自己申告の書類に基づいて、銀行毎のルール(完済年齢が80歳未満とか年収200万円以上とか)で審査されますので1週間程度で可否が出ます。

6.手続き

 ローンの事前審査に通れば施工業者と詳細を詰めましょう。

 間取りやキッチンの仕様、外壁や内装など一つ一つ決めていきます。何度も打ち合わせを重ねて図面がどんどん成長していきます。この時期はとても楽しいです。そして図面が確定したら、見積もりを出して貰います・・・おそらく予算オーバーです(涙)。

 ここからは悲しい削る作業です。まずは絶対に譲れない所ランキングを作りましょう。「バスルームの仕様だけは落としたく無い」とか「食洗機は外せない」とかそれぞれこだわりがあるはずです。その上でもう一度全体を見つめて、こだわりの薄い部分から仕様変更を検討します。「こんなに削れない」と思っていても意外と削れるものです。

 予算に収まる様であれば最終見積もりを出して貰います。この時に注意しないといけないのは、見積もりに含まれない経費が有るのか、また発生し得る追加費用というのも確認しておく必要があります。家を建てる際の一番多いトラブルは追加費用だと言われていますので。

 設計と見積もりに納得できたら施工会社と工事請負契約を結びます。これで晴れて金融機関にローンの本申込ができます。必要書類が多いですが、金融機関から一覧を貰えるのでチェックしながら一式揃えましょう。火災保険をどこにするか決めてなければ、銀行側から提案があると思います。事前に施工会社に相談した方が、良い保険会社を紹介して貰えるケースが多いかとは思います。

 この辺りの事務手続きが家作りで一番面倒な作業ですが、ココを乗り越えたらあとは楽しい事の方が多いので頑張りましょう!事前審査でOKの場合、本審査でNOとなるケースはほぼほぼありません。もちろん仮審査時の申告に嘘があったり、カードの支払遅延などがあれば否決されますが・・・。

 カード返済状況等は3つある信用情報機関のどれかに照会されます。複数の金融機関から短期間で照会が重なると不審に思われ否決される可能性があるので闇雲に申請しない方が身のためです。カードの返済遅延等の情報は5年消えません。クレジットカードを大量に保有している場合、カードに付帯するキャッシング枠が負債と同じ様な扱いにされるので、使ってないカードなどは良い機会なので解約してしまいましょう。

 本審査の結果は2〜4週間程度で連絡が有ります。因みにこの連絡は自分で直接銀行とやりとりすれば自分に、建築会社が仲介している際には建築会社の方に連絡が行く様です。この間、施工会社の方では建築確認申請を役所に提出しており、問題が無ければ2週間ほどで確認通知が届きます。この確認通知は重要書類なので無くさないように。

7.決済

 前後しますが支払いについてです。

 家を建てるのは普通の買い物とは桁が違います。ですから通常3回に分けた支払いとなります。契約時の着手金、棟上げ時の中間金、引き渡し時の残代金です。これは施工には段階的に多岐にわたる職人さんが関わるため、完成して一括支払いというわけにはいかないからです。

 では最初に全部払うとどうでしょう?これは施主側にリスクが発生しますよね。支払った時点で商品は存在していないわけですから。なので3回に分ける支払いは双方の理にかなっているわけです。

 この3回の比重はそれぞれの会社で違います。良心的な所ほど3回目の支払額を大きく(つまり施主側のリスクを小さく)設定しています。大体着手金は10%〜33%、中間金は30%〜50%、最後の支払いが33%〜60%程度です。つまり施工業者と正式契約(建築・工事請負契約)をしたら、まず着手金を支払わなくてはなりません。

 この時点で着手金分は自前で用意する必要があります。何故ならローンは全額、最後の引き渡しの際に実行されるからです。「じゃあ中間金は?」と思われるでしょうがコチラは金融機関からつなぎ融資を受ける事が可能です。勿論、自前で用意できればつなぎ融資を利用せずに済むので節約になります。

8.最終確認

 図面も決まり、ローンの審査も済み、建築確認も済むといよいよ着工目前です。ここで施工会社と最終的な仕様の確認と決定をします。ここで追加・変更があると追加変更契約を結びます。

 この最終決定に従い施工会社は部材の仕入れを開始します。そして着工前に地鎮祭を行います。地鎮祭はざっくり言うと、土地の神様を鎮めて工事中の無事を祈願する行事です。必須というわけでは無いですが職人さんは弦を担がれる方も多いので、気持ちよく工事をして貰う為にもやった方が良いと思います。地鎮祭が終わるといよいよ着工です。

9.着工

 まずは地盤が緩ければ地盤改良からです。そして基礎工事。この着工時に施工会社への1回目の支払いとなります。

 着工から2ヶ月弱程度で基礎の上に柱が立ち、家の骨組みができます。これを上棟と言いますが、上棟の際には労いの意味で職人さん達に食事を振る舞うのが通例です。一緒に食事をして親睦を図リましょう。田舎だと餅まきをする施主さんもいる様ですし、正式な上棟式をする施主さんもちらほらいらっしゃる様です。

 このころから現場を見に行くのがかなり楽しいです。行く度に「床ができてる!」とか「窓が入った!」とか自分の家を建てている事を強く実感できます。2回目の支払いがこの頃になります。

10.完成

 竣工。棟上げから4ヶ月程度で完成し、立ち合い検査の後引き渡しとなります。鍵や保証書などを受け取ったら、電気や水道の開設や転入届の提出、引越し準備とやる事が目白押しです。と同時に建物の表示登記や所有権保存登記をして持ち主が自分であることを公にします。

 そして銀行の融資実行の為に抵当権設定登記をして最終的に融資が実行されます。つまり3回目、最後の支払いですね。この辺りの手続きは銀行側か施工会社側から司法書士を紹介してもらって、手続きをお願いするケースが多いのではないでしょうか。

 そして入居、いよいよ新生活のスタートです。新しいデニムを履き込む様に、自分にピッタリな「理想の家」にゆっくりゆっくり育ててください。

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