先日、新築中の知人からエアコンの選び方を尋ねられました。意外と知らない方が多いのかもしれないので、今日はそのお話。

多くの方がエアコンを選ぶ際、チラシやネット、店頭で畳数と金額のにらめっこをしているかと思います。でもちょっと待ってください!何か疑問を持ちませんか?外的環境(沖縄?北海道?)、建物の気密性能(Q値やC値、Ua値)、戸建orマンション、様々な変数があるにも関わらず一律に提示された畳数を信じて良いのでしょうか?

その鍵を解くにはまず「この畳数ってどうやって出してるの?」と言う素朴な疑問から入るのが良さそうです。

この基準となる数値は熱損失量から計算できます。計算式は (熱損失量w)=(Q値)x(面積㎡)x(室温ー外気温)。言い換えると「外気温を設定室温まで上げる(下げる)のに必要な出力量」と言う事です。実際には居住エリアやC値(隙間係数)、天井高も関係します。

これを1000で割ってkw表示にすると、本当に必要な定格出力が弾き出せます。カタログなどに記載がある「定格冷房出力5.6kw」などですね。

さてこの計算式、実際に計算してみると驚愕の事実が見えてきます。

 

例を挙げてみましょう。

例えば20畳(約31㎡)のLDKで、冬の平均外気温が5℃、設定室温を25℃として計算してみましょう。(Q値は次世代省エネ基準で平均的な2.0で計算)。※ただし吹き抜けがある場合は著しく熱効率が下がるので注意。

熱損失量=31 x (25 – 5) x 2.0 = 1240w = 1.24kw

C値補正を入れても精々1.3kw程度です。

パナソニックのカタログを覗いて20畳用を見てみると・・・

6.3kw!!!

何故こんな事になるのでしょう?

それはこの畳数表示が1964年に作られたものだからです。

参考までに1980年の省エネ基準Q値は5.2です。現在の高気密高断熱の家であれば1.9以下、中には1.0を大幅に下回る家もあります。つまり5倍近く高い熱損失量を基に計算された畳数なのです。

実際先程の計算で出た1.3kwを5倍すると・・・6.5kw。

クーラーボックスの保冷時間を計算するのに、ダンボールの保冷能力で計算しても意味ないですよね?単純な事ですがメーカーも販売業者も、より出力の高いモノを売った方が儲かるのでこの状態が続いています。

 

家電を長持ちさせるには?

エアコンに限ったことではありませんが、電化製品は5〜8割の出力と言うのが最適です。フルパワーや2〜3割の出力と言うのは、電化製品自体に負荷を掛け故障の原因となりますし、電気代も無駄になります。

なのでエアコンを選ぶ際には、熱損失量を計算し、その2倍程度の出力のモノを選ぶと良いでしょう。

先程の例で言えば1.3kw x 2 = 2.6kw 。パナソニックの表で見ると、8畳では足りないが10畳なら大丈夫。

昔と違い、家も家電も性能が飛躍的に向上しています。ところが販売ツールとしての基準だけは古いままと言う事は多いです。畳数に惑わされずに、出力で見るように心がけてください。

計算が面倒臭いと言う方は・・・

高気密高断熱の家なら、エアコンは実際の6割程度の畳数用が丁度良いです!

15畳の部屋なら10畳用、20畳なら12畳用、30畳なら18畳用と言った感じです。

勿論、「西日が強く入る」とか「軒が深くて日が入らない」とか「窓がかなり大きい」とかそれぞれの条件で誤差は出てきますが、そう言った場合には1つ大きいモノを選べば大丈夫です。

電力中央研究所 ここのサイトにASSTと言うエアコン選定支援ツールがあります。こちらで計算して見るのも良さそうです。

 

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